本当のヨーガとは

1979(昭和54)年2月17日(土)   

日本ヨーガアシラム月例会ヨーガ禅話より
「本当のヨーガとは何か?」

  心の変わらない体操はヨーガではない......

 

大阪大学名誉教授

故佐保田鶴治先生講話 

 録音テープ(6分)

 「本当のヨーガとは何か」という、こういうことを話して歩いたんですね。こりやもう皆さんはご承知ですから、ここでお話する必要はないようなものですが。


最近ですね、ご承知のように、ヨーガが非常に流行りだしたんです。

商売にとっては大変良いかもしれませんけれども。私は大変心配します。

 

ヨーガが流行りだすとヨーガのために良くないことが起こってくる。

 

それはどういうことが起こってくるかと言うと、

本当のヨーガってものがだんだん分からなくなってしまうということです。

 

まあ本当のヨーガでないのをニセヨーガ・インチキヨーガ、そういうその荒っぽい言葉を使わんでいいんですけれども、まあ仮に言えば、偽のヨーガ、本物でないヨーガっていうものがだんだん流行ってくる。そういう心配があるんでございますね。

 

ヨーガが非常に流行って、どなたも皆ヨーガをやったら良いんじゃないかっていう風にお考えで、それは日本の人がですね、100人の内で80人以上がみんな病気持ちというような状態で、どなたもですね、健康になるということについて真剣になっていらっしゃるわけですね。

 

ですから、ヨーガが良いんだというようなことが、噂が立ちますと、ワーツとやってくるわけですね。また、美容になる、健康になる、これは良いっていうことでやっていらっしゃる。

 

そうすると、そういう社会の要求に応じようとする人も沢山出てきましてね。

それは立派な応じられる資格のある方が応じて下さるんなら良いんですけれども、必ずしもそうではない。

 

まあ中には昨日までヨーガなんてやったことないんだけれども、しかし自分は体操をやったりなんかしておって体が割合柔らかくって、ヨーガの本を見てですね、やってみると、「何だこれなら俺でもやれそうだ」ちゅうことで、その明くる日から「わしはヨーガの先生だ」とこう言ってですね、教室を開いたり、あるいは教室の先生になって出ていらっしゃる方があるわけです。

東京あたりではもうヨーガがひとつの企業化してるんですね。


 本当のヨーガは皆さんもご承知のように、

ゆっくりやる事が大事ですね。ゆっくりやる。

それから、また呼吸と必ず結びついてます。

それから心の働きと結びついておる。

それから弛緩する。

 

体を緩めるということを非常に大事にする。緊張よりも弛緩の方が大事。

 

体を滅茶苦茶にえらい目するのがヨーガじゃないんですね。

もちろん緊張はしますけども、緊張よりも弛緩する方の方に重きを置いているというのが本当のヨーガです。

 

だいたい簡単に言って、この四つの基準でですね、本当のヨーガと本当のヨーガでないものとをですね区別願いたいと思うんですな。


 え-今日は二度目のヨーガの研修で、ちょっと始にそれだけを申し上げた。

 我々の体が大事ですね。それで家(うち)にね、これもやりました、あれもやってます。頭で立っています。肩で立っています。捻りをやっています。いろいろ言うてきて、それで調子が悪いと、こういう人がよく手紙をくれるんですね。

 

私はね、これをやるあれをやることが大事なんではないっていうね。

いいですか。これをやるあれをやることが大事なんではないんです。

 

難しいやつをやったほうが、易しいやつをやったよりもより良いってことは別にないんですよ。

 

それより大事なことは、どうやるかということなんです。

 

何をやるかじゃなくて、

どうやるかっていうことね。

 

その、どうやるかっていうのは、さっき言った四つの原理に従ってやれば良いわけですね。

で、何をやるかは、これはそれほど重大ではないんです。

 

ただご本人が面白いから頭で立ってみたいと、だから立ってみる。これは結構なことですね。

あるいはいろいろ難しい捻りのポーズを面白いからやる。これは興味がなかったらやれませんからね。おやりになるのも良いし。 

 

 

それからヨーガの体操はですね、奇妙な筋肉を働かすことがある。奇妙な筋肉を動かすんですね。平素生まれてから使ったことのないような筋肉まで動かすような体操もあります。でもあの人間の体の筋肉ってのはね、これはもうなるべくたくさん動かしてやる方が、何百ってあるその筋肉を、出来たらなるべくたくさん動かしてやる方が良いんだけども、しかし、何も全部動かす必要はありません。ただいろんな筋肉を動かすっていう点ではですね、ヨーガのいろんなアーサナ、ポーズっていうのは意味があるんですね。

 

なるべくいろんなものを使って、いろんな筋肉を使ってやるというところにいろんな面白いポーズがあるわけですが。

 

体が健康になるのは、必ずしもそんなことをやる必要はありません。

頭で立てなくったってちっとも構いません。丈夫になる!!


 それからもう一つ申し上げると。

本当のヨーガってのはですね、体だけが変わるんじゃないんです。心が変わって行くんですね。

 

心が変わって行く。心が変わって行かなければ、それは本当のヨーガじゃないんです。

 

心が変わってくるから健康になって、健康の保証があるわけですね。

 

心が変わらなんだら、また逆転して病気になるっていうことはしばし起こってくる。だから、心がずーと平静な安定した心に変わっていける。これがヨーガの体操の御利益なんです。他にはそういうのはあんまりないんですね。

また心が変わってこなければ美しゅうもなりませんね。また人から好かれる人間にもなれませんね。だから、心が変わることが大事。

 

心の変わらない体操はヨーガではない。

と、 

まあそういう風に申し上げておきます。

 

ほんとうのヨーガ
右側 佐保田鶴治博士  左:松本

 

流行っては消えてゆく健康法

 

過去・現在・未来変わらぬ

「道としてのヨーガ」

 

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